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子どもが本をもっと好きになるアミューズメントパークの様な文化施設【こども本の森 中之島】がOPEN!


大阪市にある堂島川と土佐堀川に挟まれた細長い中州エリアは、美術館や学術施設が多くあり、文化・芸術の発信地とも言われています。そのエリアに2020年7月【こども本の森・中之島】が開館しました。

「子どもには本をたくさん読んでほしい」そう思っていても、なかなか難しいのが現実ではないでしょうか。このような施設が近くにあれば、子どもだけではなく、親も本を読むのが大好きになるのではないか、そう思わせてくれる施設です。


外観(提供:こども本の森 中之島)



本が好きでなくても『ここで過ごしたい』と思わせる、安藤忠雄さんの建築空間の魅力!

この館を設計し、大阪市に寄贈したのは建築家の安藤忠雄さん。日本を代表する建築家の一人ですね。その安藤さんはCasa BRUTUS(2020年9月号)にて、『人間の心の成長にとって、本は最高の栄養。だからこそ、次世代につながると本との出会いの場を作りたかった』と言っています。

SNSや動画サイトをスマートフォンで見ることが一般的になり、画面をスクロールすれば次から次に情報が入ってくる時代。読書を煩わしく感じてしまい、手元にある画面で動画を視聴する方がずっと魅力的に思えます。

けれどこの施設に一度入ると、スマートフォンよりも魅力的なフォトジェニックな本の世界が広がり、たちまち本の虜になること間違いなしです。たとえ、読むことをしなくても、「読んでみたい」と好奇心をくすぐるアミューズメントパークの様な施設なのです。


一面に本棚が広がる美しい館内(提供:こども本の森 中之島)


まず入口のテラスで、ひときわ異彩を放つのは青いリンゴ。米国詩人のサムエル・ウルマンの「青春」という詩に感銘を受けた、安藤忠雄さんが「青春のシンボルとして多くの人に触れてほしい」との願いを込めて作られたオブジェです。子どもだけではなく大人も、楽しい気分にさせてくれるオブジェです。


入口にあるオブジェ「青いリンゴ」(提供:こども本の森 中之島)


本と出会う”きっかけ”がちりばめられた「こども本の森」

最初に目に入ってくる本棚は「あの人の本棚」というコーナーです。第一弾はこども本の森中之島の名誉館長でもあるノーベル賞も受賞された京都大学IPS細胞研究所所長山中伸弥さん。山中さんが子どもの頃に読んでいた本を紹介しています。

「我が子も未来のノーベル賞を…」と期待しつつ見るも、子どもはすーっと横を通っていきました。山中さん以降も、絵本作家の安野光雅さんや、宇宙飛行士の毛利衛さんなどの本棚も予定されています。どの方もご自身の「好き」を努力に変え夢をかなえた方…どんな本を読まれてきたのか、大変興味深く、この本棚が変わるごとに来たいと思わせてくれます。

すーっと通過した我が子が、「わー」っと目を輝かせたのが3フロア分の壁面を使った本棚のエリア。360度本!本!本の世界に、なんだかちょっと胸が熱くなります。2階と3階をつなぐ大階段にも本棚。階段下の狭い空間にも本棚。こどもの狭いところが好きな特性をよくわかっています。

本棚の壁の隙間に入って本を読む。引き出しを開けると、絵本が隠されている仕掛けにも驚きつつ、本を楽しそうにとる子どもに、『この子はこの本を見つけた感動を忘れないのだろうな』と、思わされました。


大階段(Photo:伊東俊介 提供:こども本の森 中之島)

本と本の間には本の中から選ばれた一節がオブジェのように飾られていて、その一文の物語の記憶をたどる人もいれば、一文に導かれて読み始める人もいたり、本を読むきっかけ、本を好きになることは、いい本に会うことだけじゃなく、本との出会い方も大切なのだなと気づかされます。


動物が好きな人へ(Photo:伊東俊介 提供:こども本の森 中之島)


書架と書架の間を恐る恐る進むと、円筒型の形をした休憩室を発見。秘密基地のようです。安藤忠雄さんの建築の特徴であるコンクリートむき出しの壁面に、「本のかけら」という映像作品が流れます。本の物語に出てくる言葉やシーンが、動く紙芝居のように映し出されます。

文字が読めない我が子も動く文字に興味深々です。ただ机に座らせてドリルをやるだけが、文字の勉強ではないことを思い知らされます。ランダムに流れてくる言葉を読んでいると、たまに頭を殴られたような、一節に出会うことがありました。大人も是非、体感していただきたい空間です。


オリジナルのジャンルテーマで本を探すのが楽しい!

図書館って、ジャンルで分類された本が、タイトルの五十音順に無機質に並んでいますよね。少し怖いくらいにびっしりと。しかしこの「こども本の森」は分類される【テーマ分け】がとても独特。全部で12種類あります。そのすべてが、とてもわかりやすい言葉で表現されているのです。そしてその12種類のテーマがそれぞれ分断されているのではなく緩やかに、繋がり合って、一つの「こども本の森」を作っています。

?自然と遊ぼう
?体を動かす
?動物が好きな人へ
?まいにち
?食べる
?大阪→日本→世界
?きれいなもの
?ものがたりと言葉
?未来はどうなる?
?将来について考える
?生きること/死ぬこと
?こどもの近くにいるひとへ


「?きれいなもの」の棚に数学の本が入っていたのが印象的です。″きれい″の価値観も人それぞれなのですね。「?生きること/死ぬこと」のお部屋は円筒の形をした部屋で大人の方が考えさせられるテーマの部屋でした。我が子は″乗り物″の本ばかり集まっているエリアに引き込まれていました。「?まいにち」のテーマかと思ったら、「?未来はどうなる?」のコーナーでした。身近なのりもの本を出発点に未来を考えさせてくれるとは思ってもいませんでした。


乗り物(Photo:伊東俊介 提供:こども本の森 中之島)


「こども本の森 中之島」は本の貸し出しは行っておりません。しかし中之島公園に持ち出して読むことも可能です。 是非、お子様と一緒に、勿論大人だけでも「こども本の森 中之島」で新しい読書体験をしてみてはいかがでしょうか。

新型コロナウイルス感染拡大防止のための対策を実施しながら、毎日予約制にて開館をしています。詳細は公式HPをご覧ください。
https://kodomohonnomori.osaka/news/20200627/covid-19/


子ども本の森 中之島
住所:〒530-0005 大阪市北区中之島1-1-28 こども本の森 中之島
電話:06-6204-0808(平日9:30〜17:00)
アクセス:京阪中之島線「なにわ橋駅」3号出口すぐ
地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋駅」1号出口、地下鉄堺筋線・京阪本線「北浜駅」26号出口から約400m東洋陶磁美術館 東側

※駐車場はありません。ご来館は公共交通機関をご利用ください。
※施設前は歩行者空間化の工事が予定されています。通行制限や迂回をお願いすることもございます。

詳しくは公式サイトをご確認ください。
https://kodomohonnomori.osaka/


(2020年8月31日 月曜日  菅 佳子)


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