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SFか、ディストピアか…海底炭鉱の島・軍艦島までクルーズ体験!


長崎県にある「軍艦島」は、その印象的な名前で何となく耳に残っている方も多いはず。ですが、なぜ軍艦と呼ばれるか、そしてなぜ現在は無人島になっているかなど、どんな島かはっきりは知らない方も多いのではないでしょうか。

現在はツアーで訪れることしか許可されていない軍艦島。2022年1月に参加した軍艦島ツアーの様子をレポートいたします。


軍艦島とは?

白黒で撮影した軍艦島

正式には端島と呼ばれる、長崎県高島町にある無人島、軍艦島。2015年には、世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 ~製鉄・製鋼、造船、石炭産業~」として正式登録されています。「軍艦島」の通称は遠目に軍艦のように見えることからつけられました。白黒で撮影したこの姿、正に軍艦ではないでしょうか?

端島には良質の石炭を産出する端島炭鉱があり、炭鉱で働く人々とその家族が暮らすために建てられたのが、遠目にも壮観なこの建造物群です。最盛期を誇った1960年頃には、当時の東京都区部の9倍もの人口密度があったというほど栄えていました。

その後、時代は徐々に石油燃料の時代となり、端島炭鉱は1974年に閉山し、軍艦島は無人島となったのです。付近の海流が速く、また使われなくなった建築物の老朽化のため、自由に上陸することは出来ません。しかし、現在では5社もの船会社がツアーを提供していますので、ツアーに参加すれば、特別な申請など無しに上陸・見学できます。



軍艦島上陸ツアー

長崎港の常磐第2桟橋

よく晴れた1月のある日、軍艦島ツアーに参加しようと、長崎港の常磐第2桟橋にやって参りました。長崎市内からは、各社のツアーで約40分のクルーズで軍艦島へ到着。お値段は、大人一名4,000円前後の価格帯です。

ただし、どのツアーに参加しても、軍艦島付近に着くまで上陸の可否は分かりません。近くまで来て、気象状況の基準に照らして長崎市の許可が下りたら上陸決定となります。

さて、私たちのツアーはどうなりますか、ご覧ください。


長崎港に集合

株式会社シーマン商会さんの軍艦島上陸+周遊ツアー

今回私たちは、株式会社シーマン商会さんの 軍艦島上陸+周遊ツアー に参加しました。前日に長崎に着いたばかりですので、10時10分集合という出発時間がちょうどよく感じられたからです。集合場所は、長崎が初めての私たちでも、簡単に見つけられました。

早めに着いたので何となく座席を取っておきましたが、結果として大正解。ツアーはほぼ満員で、後からでは希望の席は取れなかったと思います。私は船酔いが不安で、後方の窓ガラスのない席が希望。似たような考えの方が多いのか、後部座席の、特に外側はすぐに埋まってしまいました。

ちなみに、途中で下りてみた限りでは、前方の船室も景色はよく見えました。ただ、解放感を求めるなら後部座席が良いと思います!


ドロップタイプの酔い止めを服用

ところで、軍艦島ツアーは船のツアーですから、船酔いが心配です。今回は旅行前に購入したドロップタイプの酔い止めを服用して備えました。率直に言うと、錠剤タイプより効きが悪いのではないかと疑っていたのですが、我が家では誰も船酔いせずに済みました。

お薬のパッケージには「乗車船の30分前に服用」と書いてあります。服用時間が決まっていても、そのタイミングでお水が飲めるとも限らないので、ドロップタイプは便利です。味も薬臭さはなく、普通の飴をなめている感覚でした。


ターミナルで乗船前にお手洗い

翻って、こちらは大通りまで戻ったところにある、ターミナル。乗船前にお手洗いを借りに来ました。本当は船がトイレ付きなので、乗船中の心配は要りません。ですが、行っておいた方が安心ですよね! 往復で数分で船に戻れましたので、気になる方はスタッフさんに一声かけて、お出かけになると良いでしょう。


長崎港から周遊開始!

建造中のイージス艦

さて、船は定刻通りに出発し、まずは長崎港を観光です。三菱重工長崎造船所のことも詳しく説明して下さいます。写真に写っているグレーの船は、なんと建造中のイージス艦! こんなに近くで見られて、得をした気分でした。


橋の一部

高さ65m、日本一の橋げたを誇る女神大橋の下をくぐると、市街地を抜けた実感がこみ上げてきます。座っていた場所の関係で、橋の一部しか写真に納められなかったのが残念です!


高鉾島

この小島は、高鉾島。長崎港入港の目印になる島だそうです。

高鉾島は、隠れキリシタンが身を隠した島としても知られているとのこと。確かに、上陸するのは大変そうです。また、現代人は電動の船であっさりと到達できますが、遠い江戸時代には、手漕ぎの船でここまで移動するのも大変だったのでしょうね。


神の島

高鉾島の次に見えてきたのは、神の島。島とは言え、戦後の埋め立て事業により、現在は地続きとなっています。

残念ながら小くしか写せませんでしたが、中央左手寄りにマリア像が立っており、左手には教会が見えます。この島も往時は、隠れキリシタンが潜伏していた島でした。そして禁教令が解かれた後、教会やマリア像が建立されたそうです。青い海、青い空に真っ白の像と教会がよく映え、美しいですね。


現在も有人の高島

高島

さて、伊王島という一大リゾートとなっている島も通過し、遂に炭鉱島の一つである高島が見えてきました。長崎港から約15㎞移動したことになります。高島も軍艦島と同様に炭鉱で栄えていた島ですが、軍艦島と異なり、現在も高島は有人だそうです。また、炭鉱遺跡や高島石炭資料館があり、見ごたえのある島です。

今回ご紹介しているツアーでは高島は周遊するだけでしたが、主催会社によっては高島上陸も可能です。例えば、高島上陸もセットになっているプランや、軍艦島に上陸できなかった際には代替で高島に上陸するプランなどを見かけました。


いざ、軍艦島上陸!

軍艦島上陸へ!

高島を通過したら、遂に軍艦島が見えてきました。ガイドさんから、屋上のデッキに上っても良いと案内があり、皆いそいそと階段を上ります。ただ、この時点ではまだ上陸許可は届いていません。ひょっとして見るだけなのかなぁ、と一抹の不安を覚えつつシャッターを切るのでした。

デッキの上には複数のガイドさんが来てくださり、軍艦島を周回する間、質問には何でも答えてくださいました。土地柄、台風の時には高波で一番高い建物まで波をかぶってしまうとか、岩場からは子供たちが飛び込み大会をしていたとか、生き生きと往時を思わせる語り口で、とても楽しいひと時でした。


軍艦島に近づくと別のツアー会社の船が停泊中

軍艦島に近づくと、別のツアー会社の船が停泊中。ですので、自分たちの上陸も可能だろうと期待が高まった瞬間です。


軍艦島をぐるりと回って、先ほどとは反対側に

ツアーは軍艦島周遊に入りました。軍艦島をぐるりと回って、先ほどとは反対側にやって来ました。こちら側から見た方が「軍艦」らしく見えると解説がありました。その点については、軍艦に詳しくない筆者には判断つきかねます。ですが、逆光で黒っぽく写っている分、機械らしさを感じるような気も…

そしてこの頃、軍艦島の上陸許可が下りたとの放送が。大丈夫そうだと思っていても、確定すると嬉しいものです。


船内の様子

ここで少々話題は変わりまして、船内の様子です。一足早く下りてきて、船首側の室内席のチェックをしました。両面ガラス張りで、景色はよく見えます。寒すぎたり暑すぎたりするときには、室内で快適に観光するのも優雅ですね!


岸壁に横付けするような状態

そうこうする内に、船は接岸し、上陸体勢に。岸壁に横付けするような状態で、これならばしばしば上陸が不許可になると言うのも頷けます。我々の時は波も穏やかで、スムーズに下船できてラッキーでした。


ついに上陸!

上陸し、遺跡まで細い通路で移動します。上陸者の立ち入れる場所は、このように厳密に柵で仕切られています。


あちこち崩壊している軍艦島

立ち入り可能区域が限定されている理由は、すぐに分かりました。ご覧の通り、あちこち崩壊しているのです。勝手に歩き回ったら危険しかなさそうです。それにしても、明るい廃墟とは不思議な光景です。


軍艦島案内が始まりました

お待ちかねの軍艦島案内が始まりました。手前が炭鉱で、地下1kmまで掘り進んでいたそうです。こんな小さな場所から出発したと思うと、感慨深いですね。

そして、山の上(丘の上?)の建造物が、この島で一番偉い人たちの住居です。地位により、与えられる住居が決まっているため、出世をするとどんどん上の住居に引っ越ししていったそうです。露骨と言いましょうか、良いモチベーションになると言いましょうか、現代社会とあまり変わらない構図に感心してしまいます。


上陸した側と反対側。観光客はこの広場までしか入れません

こちらは、上陸した側と反対側。観光客はこの広場までしか入れません。損壊状態を見ると危険性は了解できますが、残念ではあります。しかし船上での周遊中と同様、何人ものガイドさんが同伴しているので、聞きたいことは何でも教えてもらえ、好奇心はしっかり満たされました。

それでも軍艦島の当時の姿にご興味のある方は、大浦天主堂・グラバー園近くの 軍艦島デジタルミュージアム がおすすめです。写真はもちろん、VRも駆使して往時の軍艦島を蘇らせてくれます。

では、目の前の軍艦島の建物ついてです。奥の住宅に名残がある通り、軍艦島の住宅は高波に備えて本来は窓がなかったそう。ですが、電気でしっかり明るく暮らせていたそうです。当時にしては贅沢な住環境ですね。炭鉱事業が活況だったころは従業員の賃金も高く、当時の日本人のあこがれの家電も皆さんお持ちだったとか。


上陸禁止エリアを船から撮影

いくら物質的に豊かな暮らしでも、日の光も浴びられない生活に住民の不満は募らないのでしょうか? こんな質問に対しては、グラウンドがあったとので問題ないとの回答をいただきました。こちらの写真は、上陸禁止エリアを船から撮影したものですが、この辺りに小学校~中学校があり、奥にはグラウンドも存在していたそうです。

また、長崎市内への客船も定期的に出ており、島民は格安で利用できたとのこと。最先端の暮らしと都会への恵まれたアクセス。在りし日の炭鉱産業の栄華を伺わせるエピソードでした。


軍艦島の全景地図

逆光で恐縮ですが、軍艦島の全景地図です。神社から学校、病院まで、本当に何でも揃っていますね。SFに出てくる人工島のようです!


45分の上陸時間を終えて

軍艦島上陸の記念証明書

ひとしきり観光し、ツアー参加者全員で記念写真を撮ってもらい、45分の上陸時間が終了となりました。帰路は往路と特に変わりはありませんので、ツアーで頂いた記念品を紹介したいと思います。

まずは、軍艦島上陸の記念証明書。このような証明書は、シーマン商会に限らず、各ツアーで工夫して発行されているようです。軍艦島上陸チケットとして、長崎市端島見学利用券(一般310円、小学生150円)も受け取ってはいます。でも、こちらは自分たちの乗った船が写っているのでより記念になります。それにしても、賞状のようなものを頂いてしまうと、何かを成し遂げたようで面映ゆいですね(笑)


ツアーのパンフレットとうちわ

こちらはツアーのパンフレットとうちわです。夏にご乗船の方には役立ちそうです。こちらは実は、下の石炭と一緒に乗船時に頂いています。パンフレットは、知識豊富なガイドさんのおかげで、なくても大丈夫なぐらいですが、後から見返すのに便利な一冊です。


石炭のお土産

そして我が家がシーマン商会さんのツアーを選択した理由の一つ、石炭のお土産です。本物です。世界中の産業の発展に大きな貢献をした「石炭」を自分の手に持てるのは、歴史を体感でるようで楽しいですね!

なお、もはや燃料としては利用されなくなっているとはいえ、石炭は可燃性です。従って飛行機への持ち込みは不可ですので、飛行機で帰宅される方はご注意ください。

我が家は旅行の荷物を宅配で送ることにしていましたので、その中に入れることで空港での没収を免れました。荷物を配送しない方は、少々手間ですが、石炭だけ郵送すると良いでしょう。ご参考までに、郵便局のホームページ上の「 郵便物として差し出すことができないもの 」に石炭は挙げられていません。


終わりに

軍艦島ツアーは、約2時間~の短いツアーです。しかも基本的には、軍艦島に立ち寄って帰ってくるだけ。それにも関わらず、歴史的な価値をどのように考えるかで、驚くほど多様なツアーが展開されています。高島にも上陸するもの、軍艦島デジタルミュージアムも含むもの、また出発地が長崎港でない船もあります。各社の特色を検討してから予約されることをお勧めいたします。

下に軍艦島ツアーを運行している船会社の一覧を挙げます。メンテナンスや感染症対策の関係で運休が案内されていることもありますので、各種のお知らせは見落とさないようにお気を付けくださいね。

●  やまさ海運(株)    Tel.095-822-5002

●  軍艦島クルーズ(株)   Tel.095-827-2470

●  (株)シーマン商会    Tel.095-818-1105

●  軍艦島コンシェルジュ  Tel.095-895-9300

●  馬場広徳       Tel.090-8225-8107


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