カリフォルニアのおばの家に遊びに行ったときのこと。
　アメリカ映画のワンシーンに登場しているつもりで、おばの庭のしばかりをしていました。すると道に郵便配達のトラックが止まり、おじさんが降りてきました。
　なにやら話しかけてきますが、私の英語力は中学生程度なのでほとんど分かりません。でも怪しい感じもないので、どうにか会話をしようと試みました。
　どうやら以前におばから「日本から姪が来ると聞いていたので、君にいつ会えるか楽しみにしていたんだよ。僕の会社にもTANAKAという日本人が働いてるよ」と言っているようです。私は自己紹介をしましたが、日本人の名前は聞き取りづらいようで、その「テッド」という配達員さんは「キョウコ」という私の名前を正しく発音することはできません。でもとても親切で、配達そっちのけでカリフォルニアの季節や行事、仕事内容などを私に分かりやすくいろいろ話をしてくれました。
　翌日おば宛のDMに「TO　KYOKO」と私宛のメッセージを見つけました。おばによると、テッドはたまに「これはいらないだろう」と判断したDMにちょこっとしたメッセージを書いてポストに入れるとのこと。「君との出会いに感謝しているよ」と書いてあり、素敵な出会いになんだか涙ぐんでしまいました。
　後日分かったのですが、どうしても私の名前が聞き取れなかったテッドは、会社のTANAKAさんにうろ覚えの発音で私の名前を繰り返し伝え、ようやく「KYOKO」という名前をつきとめたとのこと。一度会っただけの私を喜ばそうとするテッド、そしてそれに付き合ってくれたTANAKAさんにも感謝、感謝。旅行での出会いって本当にすばらしいですよね。