私はコーヒーが苦手だ。
体質に合わないのだろう。飲むと頭痛がし酔ってしまう。
どうしても飲まなければいけない時は、砂糖とミルクをこれでもか！というほど入れて甘〜いコーヒー牛乳状態にする。
コーヒー好きに言わせると「信じられない」と嫌な顔をされるが、飲めないのだから仕方ない。
しかしそんな私が、一度だけコーヒーを美味しいと思ったことがある。好きになりかけたというべきか。
それは数年前の新婚旅行時の話…
私達はレンタカーで九州を南下し、高千穂峡へ向かっていた。
行く道中トイレ休憩の為 農作物直売所で車を止めた。
無事済ませ、並んでいるデコポンや日向夏達を他のお客に混じりながら眺めていると、お店のお姉ちゃんがコーヒーを２つのカップに作り始めた。
「自分等が飲むコーヒーをお客さんがいる前で入れるなんてオープンだなぁ〜。あっ！奥に大事なお客さんでも来てるのか！？」
と思い商品を見ていると、「どうぞ」とそのコーヒー達を差し出すではないか！！
せっかく入れてくれたのに『苦手』とは言えないので、仕方なく頂くことにした。

「…美味い！！何コレ！？」

今まで食わず(いや)飲まず嫌いだったのか！？という程だった。
そこら辺に売ってるコーヒーとは違うんじゃないか！？と思いお姉ちゃんの手元を見たら、よく見るインスタントコーヒーだった。

この私がコーヒー飲んでるっ！飲める〜！！
何で〜！？

旦那もとても不思議がっていた。

お店で何か買っていってほしいので、長居させるために入れてくれたのかもしれない。
お客さん全員に入れてるのかもしれない。

でも そのコーヒーには愛情がたくさん詰まっていたような気がする。
もちろんその後、頭痛もしなかったし酔わなかった。

お姉ちゃん、素敵な思い出をありがとう。
まだ九州の道端でコーヒー入れてくれてるのかなぁ？
未だに自分からは飲まないけど、お姉ちゃんの入れてくれたコーヒーならもう一度飲みたいな。