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早朝、関西国際空港に到着したFさんはシンガポール人。7時間に及ぶ空路を終えたとたんに、カエル氏が彼を拉致し、船に引きずり込み直ちに出航。
Fさんは、ついさっき降り立った空港を横目に大阪湾横断の旅へ出ることとなった。
奴隷船には、過去様々な国からのお客さんが乗船した。カエル号も「ミニ奴隷船」としてデビューした以上、やはり国際的にならないといけないので、2回目のクルージングで外国人を乗せた。
Fさんは日本語は全く解さない。艇上はカエル氏とFさんとの英語が飛び交い、私のチンプンカンプン航海が始まった。
艇は一路淡路島を目指す。
先週に引き続いてのお泊りクルージングだ。視界は悪く島影は見えるがボヤ~と霞んでいる。風は左斜め前から安定して吹いており、セイルを触る必要は全く無かった。
関西空港へ着陸する航空機がすぐ上を飛ぶ。
先に、岸和田から出航して翼港へ向かってるWINGさんに電話するが、繋がったと思ったら切れてしまい、以後何回架電してもお留守番サービスに繋がってしまう。
WINGさんと初めてお会いした日、彼は桟橋から海中に転落し、泉大津でお会いした時はカメラを海に落とした。
カエル艇長と、初めて沼島へクルージングした時、カエルさんは5月の冷たい海に転落した。
Nさんが、たんぽぽ号へ来た際は、腰に付けていた無線機が海の藻屑と消えた。
疫病神・・・か? 俺は・・・
今度もWINGさんの携帯が水没したのかも知れないと心配する。しかし、後から聞くと、電池切れであったそうで安心。だが、氏のケータイは本航海中蘇ることは無かった。
3時間半で「翼港」へ到着。10艇ほどのヨットがいる。
隣に舫っていた艇の奥様が言う。
「ヨット乗りって、イメージと違う。港に着いたヨットから降りてくるのは加山雄三や石原裕次郎みたいな格好良い人が降りてくると思いきや、汚い格好のオッサンばかり。まるでボートピープルみたい」
なるほど、言われてみれば確かに・・・(~_~;)
彼女の手には一冊の本があった。チラっと見ると横文字。
「カエル号にシンガポールからのお客がいますので話相手になってあげてください」と言うと、「本当ですか?」といぶかりながらFさんに声をかけた。
その英語の流暢なこと!!
夕方、バスに迎えにきてもらって「松帆の湯」へ全員で行く。
風呂の後は当然宴会。和室の宴会場を借り切ってあった。入り口には
『田尻ヨットクラブ様ご一行』
とある。
ただの宴会だと思っていたら、田尻YC主催の宴会だった。
二色ハーバーからの我々はヨソ者だが、快く仲間に加えていただき歓談に花が咲く。
それにしても、あちこちのヨットクラブにお邪魔している。
中締めの後、またバスで翼港まで送ってもらい、艇で二次会となる。
浮き桟橋に舫ったヨットの上での酒は回る。
何が危ないかと言って、夜中の小便である。
朝になって、一人いない・・・なんてことになったら大変。
ライフジャケットをつけて用を足す。
無事、命があるまま朝を迎えた。
WINGさんが「田尻へ寄ってタコ飯を食べて帰りましょうか」と誘ってくれるので「そうしましょうか」と出航。
ところが! 『ピ~~~~~~』
また出た警告音。お馴染みのオーバーヒートであった。
「なんでやろ・・・」
とカエル艇長。
「とりあえずメインセイル揚げて様子をみましょう」
とセイルを揚げる。
風に立てられないままでの作業と、港の表の複雑な潮にウロウロさせられ、岸の岩肌がジワリジワリと近寄ってくる。
その時、Fさんが叫ぶ「シャーク!」
水面に波が立つ。
ほんまかいな? ドルフィンちゃうの、堪忍して・・・サメだった!!
セイルセットに焦る。なんとかメインを揚げ、風をつかむまでの時間が長く感じられる。
エンジンの二次冷却水を点検して再び機関始動。
『ピ~~~~~~~~~~』
「アカンな・・帆走で二色まで帰ろう」
ところが風が弱い。
船は2ノット前後でしか動かない。
今日中に帰れるのか????
カエル艇長は再びエンジンと格闘を始めた。
エンジン内部の水量をチェックし、クーラントを補充。汗びっしょりになって脱水症状一歩手前で完成。
恐る恐る始動。
今度はいつまで経っても警告音はしない。それでも用心してタコ飯は諦め、まっすぐ二色へ舵を切る。
WINGさんに連絡しなくては・・・
「○○お留守番サービスに接続します♪」
電池切れは継続されていた・・・
風はほぼ真向かいで、今度エンジンが機嫌を損ねたら本当に一晩中浮いていなければならなくなりそうだったが、綺麗なリズムを刻み続けるエンジンは二度と、あの不機嫌なピ~音を出すことはなく、関空着陸機に迎えられながら母港が見える位置まで帰ってきた。
8時に出航して11時過ぎに二色入港。
カエル艇長の格闘のおかげで、エンジンは快調に回転し、無事帰港することが適ったのはひとえに私の日ごろの行いが正しいかったことに他ならないものであると信ずる。
翼港航海の楽しい?思い出だった。
※この観光スポットの感想クチコミは各投稿者が経験した体験を基にした個人的な意見であり、【たびかん編集部】のものではありません。
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