夜、イノシシを見にやってきた。
21時を過ぎると山からドドドドと数匹降りてきて木製神馬の近くで土を掘り返している。
膝より大きい。
■概要
伏見稲荷大社の夜は心霊スポットである。
具体的には写真にもやもやが写りやすい(多くは夜間撮影モードの長時間露出による)。
夜間、人気のない寺社仏閣はヒトかケモノかその他魑魅魍魎か、なんらかの障りがあるので行かない方がいい。
暗がりに連れ込まれたら終わりである。
場んでっとさんは野生のイノシシ見たくてやってきた。
遭遇した。
渡良瀬遊水地(生息頭数1000超。増加中)のイノシシより小型だが人との距離感がバグっており平気で近寄ってくる。
さすがに危険を感じて2m以内には誰も近寄らない。
■感想
「削除♪削除♪」
夜の伏見稲荷大社にやってきた場んでっとさん、スマホ撮影ばしゃばしゃしてたらカメラレンズが塞がれて真っ暗なものしか写らなくなった。
壊れたか?と思ったが撮影は出来ている。
カシャカシャと音がなる。
しかし全部真っ黒である。
一部ぼやけた白いものが写っている。
しつこくばしゃばしゃしてたら、とうとうエラーが出て動かなくなった。
ぶんぶんぶん。
スマホ新調したばかりだ、嘘だろ、おい。
強制再起動だ、えいっ。
「なんだこりゃ」
やっぱり黒い写真ばかり写っている。
良いものと悪いものがあるなら、これは悪いものに違いない。
カメラに残すと障りがありそうなのでその場で削除である。
「削除♪削除♪」
千本鳥居の前である。
奥を見ると真っ暗。
インバウンドの人たちが記念撮影をしている。
彼らは暗闇を恐れないのか。
イノシシを見に来たこと、お山の上には行かないこと、すぐ退散するよ、と告げたところスマホは即復活した。
普通に動く。
何もかも偶然だろう。
しかし、このような「ごっこ」が身を救うことがある。
場んでっとさんは積極的に声をかけるのであった(実際に心霊を信じていたら深夜帯に寺社仏閣を散策したりなどしない。幽霊がいると信じてるならば肖像権の侵害である撮影なども場んでっとさんはしないだろう。場んでっとさんは心霊をあまり信じてない。軽んじている。50%ぐらいの半々で信じている。心霊よりも人の犯罪と獣に襲われる方が恐ろしい)。
不気味な千本鳥居。
もう堪能したから帰ろう、と思ったら鳥居と鳥居の横の隙間からドドドドとデカいものが走り抜ける。
「わ?わ?わ?」
「うぉっ!?」
周辺にいた人たちから声が上がる。
イノシシである!
なんというグッドタイミング!
体重60キロ前後が二頭降りてきた。
若くて力強い個体だ。
一目散に餌場らしい場所で土を掘り返し始めた。
虫でも食べるのだろう。
このイノシシ、何より驚くべきは人間がいてもお構いなしな点である。
完全に人慣れしている。
幸いなことに外国人インバウンドも含めてその場に10人ほどいた誰もがイノシシに警戒心を向けていた。
誰も近づかない。
餌付けもしない。
ほぼ理想的な観察環境。
うほーっ。
周囲も興奮しつつばしゃばしゃ撮影する。
イノシシは我らにお構いなしである。
完全無視。
栃木県の渡良瀬遊水にはおよそ1000匹を超えるイノシシが生息している。
禁猟区で豊富なエサがあるため繁殖しまくってるのだ。
伏見稲荷も禁猟区かつ聖域であり天敵のいないお山である。
毎年、伏見の母イノシシが出産を続けており、場んでっとさんの見立てでは数十匹は余裕で生息してそうである。
山から山へ、繁殖拠点ではあるまいか。
伏見稲荷の各所でイノシシ注意の看板が立てられ、早朝と夜には気を付けるよう喚起されている。
まさかこんなに簡単に巡り合えるとは思わなかった。
近づけば食事の邪魔をしたと攻撃を受けることは必須。
フゴフゴと鼻先で土をめくってる様子を観察。
夜行性で山の端々で食事をしてるのだろう。
迂闊に山に入ったら遭遇して事故も起こりやすいだろう。
「やはり夜は獣の時間帯。山に入らない方いいですね」
運よく衝突がなかっただけ猪突猛進という言葉がそのまま当てはまるような弾丸のごとき走りであった。
暗がりから出てきてぶち当たったら吹き飛ばされるも必須。
ゴロゴロと千本稲荷から転がり落ちた先に毒蛇がいたらと思うと「無理無理無理無理」となる。
きっと京都の夜のお山は全部こんな感じなんだろう。
お山に入るのは昼、太陽の出てる時間帯だけにしようと固く誓った。