百万遍知恩寺は、京都市左京区田中門前町(今出川通と東大路通が交差する百万遍交差点の北東)に位置する浄土宗大本山のお寺です。
法然上人ゆかりの寺院であり、正しくは「長徳山 功徳院 知恩寺」と称します。
「百万遍」という名の由来は元弘元年(1331年)、疫病が大流行した際に第八世・空円上人が御所で七日七夜にわたり百万遍の念仏を唱えたところ、見事に疫病が収束したことによります。
この功績により後醍醐天皇から「百万遍」の号と大念珠を賜り、以来「百万遍知恩寺」として親しまれるようになりました。
境内には重厚な本堂(御影堂)や立派な山門(総門)がそびえ、歴史ある静寂と温もりを湛えています。
京都の夏の風が青空に吹き抜ける日、毎月15日に開催される「百万遍さんの手づくり市」を訪れました。
市バスを降りて百万遍知恩寺の総門前に立つと、真っ赤な「手づくり市」の大きなのぼり旗が目につきます。
白と赤の横断幕で彩られた歴史ある木造の山門をくぐると、静けさを包み込むお寺の普段の表情とは一変、色彩豊かでエネルギーに満ちあふれた「手づくりの世界」が広がっていました。
境内一面には、赤・青・ベージュといった色とりどりのテントが隙間なく立ち並んでいます。
石畳の参道から松の青緑が美しい庭園の奥に至るまで、手作り作品を並べた店がぎっしりと連なり、見渡す限りの活気に思わず胸が躍ります。
本堂の大きな屋根へと続く参道は、地元の人々や若者、さらには海外からの観光客で埋め尽くされ、誰もが笑顔で目当ての品を探して歩いています。
手づくり市の魅力は、何といっても「作り手」と直接言葉を交わせる距離感にあると思います。
あるテントでは、木製の額縁にカラフルな花のクラフトを飾ったレトロ可愛らしい作品が並び、若い女性たちが嬉しそうに手に取っていました。
別の店では、色鮮やかな生地で仕立てられたバックパックやポーチ等の小物が棚いっぱいに並べられ、作家さんが温かい笑顔で作品のこだわりを語ってくれます。
「はちみつ」「珈琲」「和小物」と書かれたカラフルな旗やのぼりが風になびき、香ばしい焼き菓子や挽きたてコーヒーの香りも境内に漂ってきます。
本堂(御影堂)の重厚な木造建築を背景に、青や黄色のアウトドアテントや手づくりの品々が並ぶ光景は、古都の伝統と現代のクリエイティビティが見事に融合した、百万遍知恩寺ならではの特別な風景です。
本堂の階段の上から境内全体を見渡すと、青空の下に広がるカラフルなテントの波と、松の緑、そして行き交うたくさんの人々の姿が一目で見渡せました。大きな銅燈籠の向こうで、お気に入りの一品を見つけて微笑む人々の表情がとても印象的です。
素朴で心のこもった作品たちと、作り手たちの温かい人柄に触れ、ただ買い物を楽しむだけでなく、人と人との繋がりという温もりを持ち帰ることができる素晴らしい一日となりました。古刹の懐に抱かれたこの手づくり市は、訪れる人の心を、いつでも優しく解きほぐしてくれることでしょう。
■百萬遍 知恩寺 京都府京都市左京区田中門前町103
【拝観時間】境内自由(堂内は9:00~17:00)
【拝観料】無料
【アクセス】市バス「百万遍」バス停から徒歩すぐ、京阪鴨東線「出町柳駅」から徒歩約10分
百万遍さんの手づくり市について
開催日:毎月15日 雨天決行
時間:午前8時~午後4時
場所:知恩寺境内