暦の上では春とはいえ、まだ肌を刺す冷たさが残る三月。
京都・伏見の南端に位置する淀水路へ、一足早い春の訪れを探しに出かけました。
京阪電車を「淀駅」で降り、賑わう駅前から少し歩くと、視界の先にはっとするような鮮やかなピンク色の並木が現れます。
近年、京都の新しい早春の風物詩として定着した河津桜の並木道です。
当日の空は、雲一つない見事な快晴。突き抜けるような青空と、力強く咲き誇る濃い紅色の花びらが見事なコントラストを描いています。
しかし、予報通りの強風が吹き抜け、時折、体を持って行かれそうになるほどの突風が並木を揺らします。
その風に誘われるように、丁度満開を迎えた花たちがハラハラと舞い散り、春の嵐のような光景が目の前に広がりました。
水路を覗き込めば、そこには息を呑むような「花筏(はないかだ)」が。
舞い落ちた無数の花びらが水面を埋め尽くし、青い水面の上に鮮やかなピンクの絨毯を敷いたかのように流れていきます。
風が強いからこそ見られる、この日限りの贅沢な芸術作品と言えるでしょう。
かつては地元の隠れた名所という趣でしたが、今やその美しさは世界に届いているようです。
散策路を歩けば、熱心にシャッターを切る日本人観光客に混じって、多くの外国人観光客の姿が目に入ります。
言語は違えど、満開の桜の下で綻ぶ笑顔は皆同じ。京阪電車の赤い車両が桜の向こうを走り抜ける瞬間には、あちこちから感嘆の声が上がっていました。
水路沿いには、桜だけでなく大きく膨らんだ木蓮の蕾も顔を出し、春の本番がすぐそこまで来ていることを告げています。
強風に耐えながら見上げた満開の河津桜は、その力強い色彩で、冬の終わりと新しい季節の始まりを確かに刻んでいました。
住所: 京都府京都市伏見区淀新町 他(淀水路一帯)
アクセス: 京阪本線「淀駅」下車、徒歩約10分から15分
ポイント: 駅から水路までは案内板やのぼり旗が出ているため、初めての方でも迷わず向かうことができます。