練馬区立向山庭園の口コミ一覧（９〜１０点）

牧野記念庭園、向山庭園、ちひろ美術館の練馬区のみっつの建物は日本を代表する建築家である内藤廣氏の作品である。
氏は多くの公共建築や文化施設などを手掛けている。


■概要

第8代鉄道大臣、江木翼の邸宅だった。
でけえマンション立てる計画が立ち上がり、反対運動の末に紆余曲折があって1980年に公園として開放される。
今の建物は内藤廣氏がデザインした。

高低差のある日本庭園は夜間ライトアップ設備があり、春秋は夜間イベントが開催される。
その他、展示会などでも地域に利用されている。


■感想


●高級住宅街とは人それぞれ

都民との会話で違和感を覚えることがある。
それは「高級住宅地街」の概念である。

場んでっとさんは地方の出である。
金持ちやヤクザが集落に点在することはあっても密集して住むことはない。
ほとんどが商家や元農家や賃貸住宅ばかりの土地で育った。
金持ちは少数派、いわば異端であったのだ。


地方で推定一億以上かかってるだろう、という家屋をして「高級住宅」と認識している。
堅牢な塀、広い庭、でかい家、見張り台、ドーベルマン、池と錦鯉、グラサンのパンチパーマがいれば完璧だ。
ときどき捕まって別荘に行ったりもする。
大雑把であるがそんな認識だ。



●練馬の高級住宅街

練馬は庶民的でありながらも高級住宅街を備えている。
例として挙げるなら、石神井公園周囲、大泉学園、成城学園、そして向山庭園のある向山である。

「向山は高級住宅街ですね。雰囲気が素晴らしい。とても美しい」
「違うよ~」

違う、と言われた。
は？は？は？
となった。

庭から大きな桜が咲く美しい通り。
住宅街らしい喧騒のない静かな道路。
出窓から流れ聞こえるピアノの音。
落ち着いた雰囲気。

お嬢様と上品なママパパがおほほほと住んでそう。
まるでドラマに出るような模範的な街。

あれをして高級住宅街ではないと？
土地代と家屋合わせれば1億越え余裕。
庭は大きくないけれど、あの雰囲気は上品で高級感がある。
特に春。
言葉もないぐらい見惚れる桜の美しさよ。
本能が「高級！！これは高級の味！！」と告げる。

松濤や田園調布の豪邸感はないが十分に高級だと思うのだが…。
大臣が住んでいた土地でもダメなのか。
地域景観資源アーカイブに指定も受けるほどなのに。

「違う」

都会の人の高級判定は厳しい。

しかし、やっぱり場んでっとさん的には向山は高級住宅街だと思う。

だって美しいのだもの。
あれは低級、中級なものの美ではない。
高級な美だ。
向山は美しい。


●向山庭園

その美しい向山の住宅街の端っこに区立向井山庭園はある。

昭和の鉄道大臣の元邸宅。
家屋より庭が広いという、昔ながらの金持ちの条件に沿っている。

日本庭園を見下ろす形で建物が位置し、その睥睨感はいかにも支配者っぽい。
要予約で建物は利用でき、利用者のほとんどが地域マダムだ。
文芸、茶道、生け花、囲碁などが嗜まれるという。

（他地域の公民館はボードゲームや遊戯王やダンスレッスンなんかに使われてる。用途そのものに隔絶感がある。やっぱり高級ではなかろうか。いいものはいいと評価したい）

としまえんが健在だった頃はついでに立ち寄っていたのだが閉業後はめっきり訪れる機会が減った。
春秋に夜間ライトアップイベントがあり、気が向いたら立ち寄るぐらい。

向山庭園は庭園だけを利用するのではなく地域の歴史や景観と共に見学するといっそう味わいが深いと思う。